あるお母さんから、こんなお悩みをいただきました。
「子どもが味噌汁などをこぼした時に、
なぜか自分でも抑えられないくらいのイライラの感情が湧き上がってきて、
子どもに対してキツく怒ってしまうのです。
それが、ワザとこぼしていないとわかっている場合も怒ってしまい、なぜ、自分がこんなにもイライラしてしまうのか、わからないのです・・。」
誰だって本当なら怒りたくないし、穏やかな親でいたいですよね。
でも、なぜか自分でもわからないけどイライラの感情が出てきて、子どもを傷つけてしまう。
そして怒ってしまった後に自分自身罪悪感に苛まれる。子育てしていると、誰にでも経験があるかと思います。
ただ、どうしてかわからず、これを繰り返してしまうことに、
お母さんは途方にくれていた様子でした。
汚されるのは誰でも嫌なものですが・・・。
もちろん、単純にテーブルを汚されるのはきっと誰でも嫌なことだと思います。
ただ、このお母さんは普通の人以上にイライラしているように見えて、
僕は人とは違った原因があるのではないかと思い、こう質問してみました。
僕

”こぼす”、”汚す”にも色々ありますよね?
おもちゃを散らかされた時や、服が泥だらけになった時にも同じようにイライラしますか?」
お母さん

いや、そんなにイライラしないですね

「じゃあ、液体をこぼされるのが嫌なんですかね?例えば、お茶をこぼされてもイライラしますか?」

いや、しないですね

それはなぜだと思いますか?

私のお母さんは、私が子どもの頃にお茶をこぼしても『拭けばいいのよ』って怒らなかったから・・・・

じゃあ、あなたのお母さんもお茶はこぼしてもいいけど、味噌汁はダメだったのですか?

はい、『味噌汁はべたべたするから』ってお母さんが言ってました

もしかして、その時のお母さんはイライラしたり、怒ったりしていましたか?

はい、ワザとこぼしてわけじゃない時でも凄く怒られました・・
どうやら原因はここにありそうです。

多分、あなたの心の中に、子どもの頃に”味噌汁などべたべたした物をこぼした時に怒られた”という心の傷があって、
息子さんが同じようにこぼした時に、その辛い思いがフラッシュバックして、息子さんに当たってしまうのではないですか?

そう言われると、そうかもしれません・・・・・。
でも、私はどうすればいいのでしょう?
毎回怒らないようにがんばってみるのですが、結局最後には怒ってしまい自分が自分で嫌になります・・
お母さんの表情がだんだん暗くなっていきました。

そうですか・・・。ちなみにあなたがお母さんに怒られていた時どんな気持ちでしたか?

そんなに怒らなくてもいいのに。拭けばいいだけなのにって思っていました・・・・。
お茶をこぼした時みたいに『拭けばいいのよ』って、ただ『拭けばいいのよ』って、そう言ってほしかった・・・・。
そう言うとお母さんは泣き出しました。

その気持ち、お母さんに言ったことはありますか?

……いいえ。きっと言ったら怒られるから

そうですか、
じゃあ今度お子さんが味噌汁をこぼした時、あなたが息子さんにこう言って抱きしめてあげましょう!
『拭けばいいのよ』って。それならできるでしょう?
そう言うと、お母さんの表情は驚きの後、明るくなり、

・・・・・・はい
お母さんは笑顔になりました。

そっか、私はずっと母に『拭けばいいのよ』って言って欲しかったんですね。
これからは息子がこぼしたときは『拭けばいいのよ』って言ってあげます!あぁ、早くこぼさないかなぁ~~!!(笑
ついさっきまで、悩み苦しんでいたのが嘘のように、お母さんはすっきりとした表情になりました。
親自身が気付いていない心のキズが、子どもの行動によって刺激される。
このように、親である大人自身が癒されていない心のキズがあって、
それを自分の子どもの行動を通して刺激され、感情的になってしまうことが誰にでもあります。
自分でその理由がわかって感情的になるのはまだ大丈夫ですが、
今回のお母さんように、実は自分で理由がわからないけど感情的になってしまう方が問題は厄介になります。
なぜなら自分でコントロールできないからです。
まるで突然ハンドルを誰かに奪われたように勝手に感情が暴走してしまうのです。
原因の多くは親自身が子どもの頃に受けた影響によるもの
ですが、自分の心の中を見つめていくと、感情が暴走してしまう原因が無意識層の中にあることがわかります。
そしてさらにそれを探って行くと、原因の多くは親自身が子どもの頃に受けた影響によるものであることが見えてきます。
その原因を理解できたときに初めて、感情のコントロールが可能となり癒すことができるようになるのです。
また、自分が持っている心のキズと同じものを、自分の親も持っている場合があります。実は自分の親も同じように、そのまた親から心のキズをもらっているのです。
それは無意識層の中にあるので、もしかしたら誰も気付くことなくこれまで先祖代々無意識に負の連鎖として受け継いできてしまったものかもしれません。
この負の連鎖をそのままにしておくと、自分の子どもたちもその心のキズで苦しみ、それを探し癒す時間が必要となります。
負の連鎖を断ち切る
僕たち親は、その子どもたちに負の連鎖を受け継がせることのないように、私たちの代で断ち切り、子どもが子どもの人生に集中できるよう導いていくことも一子育てにおいての大切なことではないかと考えます。
こうした気づきは子育ての中でとても見つける機会が多くあり、まるでこれらは神様からの子どもを通した宿題のようです。子どもの問題と思っているもののほとんどが、実は自分の宿題なのです。
そう思うと子どもは自らを犠牲にして、親である自分の心の傷を気づかせようとしてくれている健気な存在なのかもしれませんね。

ぜひ、その子どもたちのその犠牲を無駄にせずに、負の連鎖を断ち切っていきましょう!
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